馬込文士村(1)大田区郷土博物館の直筆資料
私の職場はJR京浜東北線大森駅のそばにあります。毎日のように通っている大森ですが、あのモースが発見した大森貝塚や、大正から昭和にかけて多くの文士が暮らした馬込がすぐそばにあり、歴史や文学に興味のある人にとっては、なかなか面白いスポットです。
今回は、大森界隈の歴史を知るのに格好の場所、大田区郷土博物館を訪問してきましたので、紹介したいと思います。
JR大森駅から博物館へは、歩くとやや遠いので、駅前からバスを利用しました。東急バスの「荏原町駅入口行き」から乗車。バスはだいたい10分に一本の割合で出ているのでそれほど待たされることはありません。
15分ほどバスに揺られ、「万福寺前(まんぷくじまえ)」で下車。バス停前に「郷土博物館まで140メートル」との表記がありました。歩いて二、三分で郷土博物館が見えてきます。
万福寺バス停周辺。のどかな住宅地です。歩道がせまいのですが、車通りはそれほど多くありません。
この博物館、入館は無料なのですが、展示はなかなか充実していて、モースのコーナーや地域の考古資料、高度経済成長を支えた大田区のものづくり産業の活躍や羽田空港のあゆみなどを詳しく知ることができるようになっています。
中でも一番興味深かったのは、3階にある馬込文士村のコーナー。周辺に暮らしていた文士たちの関係者が寄贈したものでしょうか。貴重な直筆資料がそのまま展示されており、圧巻でした。
所蔵に「当館蔵」と書かれたものをいくつかメモしてきました。
・尾崎士郎直筆原稿『空想部落』『雷電』『僕の手帖から』
・尾崎士郎 久米正雄宛書簡(昭和11年12月22日付)
・宇野千代直筆原稿「ポプラハウス物語(三)」:『新選宇野千代集』(昭和4年9月改造社)所収
・宇野千代直筆原稿「身のまはりのこと-創作生活ありのまま(7)-」
・宇野千代直筆書簡・はがき各種
・室生犀星「白秋をおもふ記」(『短歌』昭和29年11月号)
・室生犀星草稿「青い舌」(初出「あらくれ」昭和10年2月1日)
(これは製本されていました)
・芥川龍之介直筆葉書 室生犀星宛(昭和15年2月16日)
(展示は複製品でしたが、原資料は当館蔵とありました)
・室生犀星直筆書簡(昭和3年6月15日付 室生とみ宛)
・室生犀星「馬込日記」(昭和3年11月15日から12月31日までの日記)
・和辻哲郎直筆書簡 他ふろしき・眼鏡・ステッキなどの愛用品
・北原白秋直筆色紙・短冊各種
・佐多稲子直筆草稿「北陸の空と海」
・吉屋信子直筆原稿「街の子だち」(昭和9年『少女の友』所収)
・片山広子直筆書簡(昭和24年1月23日付 武井ひろ子宛)
これだけの資料を無料で拝めるところは、なかなかないのでは、と思います。
下は、馬込に住んでいた北原白秋の旧居の窓枠の展示。建築物は風雨にさらされるので、維持保存には多大な費用がかかり、たとえ著名人が住んでいた家といえども取り壊されてしまうことがほとんどです。白秋が住んでいた家も現存しませんが、このように一部だけでも保存しておけば、写真とあわせて当時の面影を偲ぶことができます。こうした展示にも、それなりに費用がかかると思いますが、形あるもの実物を後世に残していくというのは、とても意味のあることだと思います。
窓口では、川瀬巴水や文士村の散策地図、モースの小冊子などを求めました。
博物館の近くにある万福寺も、由緒あるお寺だそうですので、足を伸ばしてみました。次回、紹介したいと思います。
今回は、大森界隈の歴史を知るのに格好の場所、大田区郷土博物館を訪問してきましたので、紹介したいと思います。
JR大森駅から博物館へは、歩くとやや遠いので、駅前からバスを利用しました。東急バスの「荏原町駅入口行き」から乗車。バスはだいたい10分に一本の割合で出ているのでそれほど待たされることはありません。
15分ほどバスに揺られ、「万福寺前(まんぷくじまえ)」で下車。バス停前に「郷土博物館まで140メートル」との表記がありました。歩いて二、三分で郷土博物館が見えてきます。
万福寺バス停周辺。のどかな住宅地です。歩道がせまいのですが、車通りはそれほど多くありません。
この博物館、入館は無料なのですが、展示はなかなか充実していて、モースのコーナーや地域の考古資料、高度経済成長を支えた大田区のものづくり産業の活躍や羽田空港のあゆみなどを詳しく知ることができるようになっています。
中でも一番興味深かったのは、3階にある馬込文士村のコーナー。周辺に暮らしていた文士たちの関係者が寄贈したものでしょうか。貴重な直筆資料がそのまま展示されており、圧巻でした。
所蔵に「当館蔵」と書かれたものをいくつかメモしてきました。
・尾崎士郎直筆原稿『空想部落』『雷電』『僕の手帖から』
・尾崎士郎 久米正雄宛書簡(昭和11年12月22日付)
・宇野千代直筆原稿「ポプラハウス物語(三)」:『新選宇野千代集』(昭和4年9月改造社)所収
・宇野千代直筆原稿「身のまはりのこと-創作生活ありのまま(7)-」
・宇野千代直筆書簡・はがき各種
・室生犀星「白秋をおもふ記」(『短歌』昭和29年11月号)
・室生犀星草稿「青い舌」(初出「あらくれ」昭和10年2月1日)
(これは製本されていました)
・芥川龍之介直筆葉書 室生犀星宛(昭和15年2月16日)
(展示は複製品でしたが、原資料は当館蔵とありました)
・室生犀星直筆書簡(昭和3年6月15日付 室生とみ宛)
・室生犀星「馬込日記」(昭和3年11月15日から12月31日までの日記)
・和辻哲郎直筆書簡 他ふろしき・眼鏡・ステッキなどの愛用品
・北原白秋直筆色紙・短冊各種
・佐多稲子直筆草稿「北陸の空と海」
・吉屋信子直筆原稿「街の子だち」(昭和9年『少女の友』所収)
・片山広子直筆書簡(昭和24年1月23日付 武井ひろ子宛)
これだけの資料を無料で拝めるところは、なかなかないのでは、と思います。
下は、馬込に住んでいた北原白秋の旧居の窓枠の展示。建築物は風雨にさらされるので、維持保存には多大な費用がかかり、たとえ著名人が住んでいた家といえども取り壊されてしまうことがほとんどです。白秋が住んでいた家も現存しませんが、このように一部だけでも保存しておけば、写真とあわせて当時の面影を偲ぶことができます。こうした展示にも、それなりに費用がかかると思いますが、形あるもの実物を後世に残していくというのは、とても意味のあることだと思います。
窓口では、川瀬巴水や文士村の散策地図、モースの小冊子などを求めました。
博物館の近くにある万福寺も、由緒あるお寺だそうですので、足を伸ばしてみました。次回、紹介したいと思います。
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